AIが資料を最後まで作る。決めておくのは1枚の表

9月16日、Anthropic が Claude に Docs と Slides を足した。会話の中で文書と発表資料を作り、そのまま PowerPoint や PDF で書き出せる。同じ日に、それまで別の入口だった Cowork とチャットも1つにまとめている。
この機能で、人がAIの出力を自社の書式に貼り直さなくなる。伴走先を見てきた限り、その数分だけが資料の検査だった。
貼り直しの数分でやっていたこと
チャットに出た文章をコピーして、自社の提案書に移す。伴走先の担当者は、この作業のあいだ必ず全文を1回通っていた。
伴走先の資料を見ていると、この数分で落ちているものはだいたい決まっている。去年の数字。社内では使わない言い回し。前の案件の顧客名が残っている一文。どれも、通して読めば気づくものだ。
誰も検査だと思ってやっていない。貼り直すという作業の副産物として、たまたま検査になっていた。
この工程が消えると、検査だけが誰の担当でもなくなる。
体裁が整った資料が承認される場面
AIから出てくる資料は、体裁が整っている。見出しの階層も揃っているし、表紙もある。中身が薄くても、薄いことが見えにくい。
社員が数十人の会社だと、作る人と承認する人の距離が近い。社長が2人目の読者になることも珍しくない。整った資料に向かって「これ、中身どうなってる」と言うのは、思ったより気が重い。体裁が整っているほど言いにくくなる。
自分の手元でも同じことが起きる。書き出しがきれいだと、読み返しが甘くなる。
「社内テンプレートを整える」で足りないところ
こう書くと、伴走先の担当者からはこう返ってくる。ならば社内テンプレートを揃えて、AIにはそれを渡せばいい。順番としては合っていて、デザインを触る前にテキストで中身を確定させるところまでは、自分も同じことを言う。
ただテンプレートで揃うのは、見出しの位置と色だけだ。その見出しの下に何が書かれているべきかは決まらない。AIは枠があれば埋めてくるので、埋まった状態で出てくる。何が入っていないかは、埋まった資料を見ても分からない。
見た目を揃えると、かえって欠けに気づきにくくなる。全部が同じ顔をして出てくるからだ。
うまくいった資料3本から抜く項目表
提案書なら5〜7項目、月次報告なら4〜5項目。自分が見てきた範囲では、この種類の資料には必ずこの項目が入る、という一覧はそのくらいの分量に落ち着く。
作り方は、過去にうまくいった資料を3本並べて、共通して入っている項目を抜くだけだ。新しく考えない。
提案書だと、顧客が商談で実際に使った言葉と、その業務に今かかっている時間か金額。あとは、やることとやらないこと、次に誰がいつまでに何をするか。この並びになる。
使い方は単純で、AIが出した資料を項目の有無だけで見る。文章の善し悪しを毎回議論しなくて済むし、5分で終わる。空いている項目があれば、そこはAIが知らない情報だ。人が埋める。
同じ項目が何回も空で戻ってくるなら、自社がそこを決めていない。提案書の「やらないこと」はよく空になる。AIは範囲外の話を書かないので、こちらが範囲を決めていなければ出てこない。
今週できること
AIが資料を最後まで作れるようになって、手を動かす時間は減った。代わりに、何が入っていないかを見る仕事が残る。作るより短いが、誰かがやらないと、出来のいい資料のまま中身が抜ける。
今週やるなら、うまくいった提案書を3本並べて、共通する項目を書き出すところまででいい。15分で終わる。テンプレートのデザインに手をつけるのは、そのあとでも間に合う。
出力が増えたあと人の側に何が残るかは、聞けばダッシュボードが出る時代に、残った1つの仕事にも書いた。数字を出す作業が自動になったあと、どの数字を見るかを決める仕事だけが残る、という話だ。
参考:VentureBeat「Anthropic is killing off Claude Cowork and folding it into Claude chat, launching Claude Docs and Claude Slides」(2026年9月16日)/ITmedia NEWS「Anthropic、Claudeの「チャット」と「Cowork」を統合 資料作成の「Docs」「Slides」も」/Impress Watch「Claude、チャットとCoworkを統合 新機能Claude Docs/Slidesも」






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