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モデルを選ばせない国産AIが出た。それでも残る判断

12 分前
読了時間: 4分
太さの違う5本のパイプが閉じた金属の箱に入り、箱の下のオレンジ色の注ぎ口から1本の流れがカップに注がれているイラスト

9月11日、Sakana AIが「Fugu Max」と「Fugu Ultra v2」を出した。依頼の難易度を見て、どのモデルをどう組み合わせるかを向こうが決める。こちらはモデル名を指定しない。


昨日書いたモデル乱立の話への、いちばん直接的な回答がこれだ。比較に半日使うのが嫌なら、比較ごと任せてしまえばいい。


ただ、選ぶ相手が1段上がっただけだ。あなたが指定するものが、モデル名から束ね役の会社名に移る。


束ね役という商品

料金は100万トークンあたり、Fugu Maxが入力2ドル・出力6ドル。Ultra v2のほうは標準の文脈長で入力5ドル・出力30ドル。APIはOpenAI互換なので、既存の呼び出しをほぼそのまま向けられる。


Sakana AIは、Ultra v2が複数のベンチマークでGPT-6 AstraとFable 5.1を上回ったと主張している。ここにITmediaが注釈を付けた。その2モデルは、Fuguが候補として使うモデルの一覧(プール)に入っていない。


自分の周りでは、この注釈を弱点の指摘として受け取っている人が多かった。これは仕様だ。


Sakana AIは最初から最上位を入れないと決めている。Fugu Maxのほうはオープンな重みのモデルとNVIDIAのNemotronを中心に、同社としてこれまでで最大のプールを組んだ。安さは束ね方そのものから出ているので、そこに最上位を足したら商品として成立しない。


noteでコバッチさんが、出力6ドルはSonnet 5比で4割安く、最強クラスを含まないプールでどこまで迫れるかが論点だと書いている。自分は、迫れなくてもいいと思っている。議事録の要約と見積のたたき台で差が出ないなら、4割安いほうを取る。


移った先にある判断

束ね役に任せると、答えを書いたのがどのモデルなのかが使う側から見えなくなる。


困るのは、出力の質が先月と変わったときだ。切り分けの入口が無い。プロンプトが悪いのか、Sakana AIが裏の組み合わせを変えたのか。使う側からは同じ「なんか変わった」に見える。


先に見るのは、止まったとき誰に聞けるかだ。窓口が1社にまとまっていれば、そこに投げて待てる。複数のベンダーに分かれていると、切り分けの調整だけで数日が溶ける。


もう1つ、データがどこを通るか。


法人プランで学習設定を閉じても、束ね役の先にいるモデルまで同じ条件が効いているとは限らない。プールの中身はSakana AIがそのつど入れ替えるので、データの通り道も一緒に変わる。利用規約で見るのは2か所。連携先のモデルが学習対象から外れているかどうかと、プールの構成を変えたときに利用者へ通知があるかどうか。どちらもベンチマークの数字とは関係がない。


6月に、モデルそのものより周りの仕組みのほうが効くと書いた。束ね役はその「周りの仕組み」を商品にしたものだ。だから自分は、性能の数字ではなく運用の条件で見ている。


「ベンチで上なら乗り換えでは」への答え

ベンチマークの順位は、乗り換えの理由にならない。


理由は単純で、順位が入れ替わる周期が、社内で慣れる周期より短いからだ。9月の最初の1週間だけで4社が最上位モデルを出した。乗り換えを順位で決めると、毎月それをやることになる。


御社でいちばん数の多い依頼を、10件そのまま通してみてほしい。議事録の要約でも、見積のたたき台でもいい。同じ10件を、いま使っているものと束ね役の両方に通して、手直しの量を数える。


これは万能じゃない。10件では拾えない例外は必ず出るし、月をまたぐと結果も動く。それでも、手直しの件数は御社の紙に残る。ベンチマークの表は残らない。


今週やること

束ね役を試すかどうかの前に、置き場所を1つ決めたほうが早い。


昨日の記事では、業務ごとに置き場所を1つ紙に書く話をした。束ね役を入れるというのは、その置き場所に「裏で複数のモデルを切り替える箱」を置くこと。箱の中身が変わっても業務側が動かない状態を先に作っておかないと、同じ手間を次の乗り換えでもう一度やることになる。


御社でいちばん数の多い依頼を1つ選んで、そこで使うものを紙に1行書く。試すのはその次でいい。


紙に書く段で手が止まるなら、30分の無料相談で業務の洗い出しから一緒にやります。


参考

・ITmedia AI+の報道(2026年9月11日) https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2609/11/2000001405/ ・コバッチ「Sakana AI『Fugu Max / Ultra v2』:出力トークン単価$6でSonnet 5比40%低価格、最強クラスを含まないプールでどこまで迫れるのか」 https://note.com/vertrek_kobatch/n/ne9ad55f4955d

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スノーリーズ株式会社​

代表取締役

石黒翔也

​執筆者プロフィール

約7年間にわたりモバイルアプリケーションやWebアプリケーションの開発、AzureやAWSを活用したサーバー構築に従事。

その後、2021年にスノーリーズ株式会社を設立し、AIで問い合わせ業務の効率化を実現する「AIbox」を開発。

AIboxは最新のRAG技術(Retrieval-Augmented Generation)を活用し、問い合わせ業務に課題を抱える企業に採用されています。

現在は、企業の技術顧問としても活動しながら、AIやクラウド技術の普及に取り組んでいます。

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