「AIに機密を入れるのが怖い」87.7%。ツールでは消えない

8月31日にヤマネックスが公開した中小企業の生成AI利用実態調査で、業務でAIを使っている人の87.7%が、会社や顧客の機密情報を入力することに不安があると答えた。回答は264名。
同じ調査で、機密情報を自動で検知してマスキングする仕組みを持っている会社は11.4%だった。
この76ポイントの差を埋めるつもりでマスキング製品を買っても、既定のパターンしか伏せられないので効きません。
76ポイントの隣に並んでいる数字
同じ調査には、もう1つ数字がある。自社の利用ルールが「ない」か「形骸化している」と答えた人が74.6%。4人に3人だ。
自分はこっちが原因側だと見ている。
マスキングの仕組みは、何を隠すかを設定しないと動かない。その設定には「自社にとって何が機密か」の線が要る。
線が無いまま導入すると、既定のパターンだけが伏せられる。既定で用意されているのは、クレジットカード番号やマイナンバーのように形の決まった文字列だ。顧客の見積条件も、応募者の職歴も、健保に出す指導記録も、その形をしていない。だから素通りする。
社員が止まっている場所
相談の場で聞く不安の中身は、「漏れるかもしれない」ではない。「これは入れていいのか、自分で決められない」のほうだ。
決められないと、手が止まるか、黙って貼るかのどちらかになる。会社がその二択を社員に押し付けている。押し付けられている側が74.6%です。
使うかどうかの議論は、この調査の中ではもう終わっている。回答者のうちChatGPTを使ったことがあるのが90.4%、Geminiが70.2%。毎日使っている会社が、怖がりながら使っている。
A4半分の3分類
先に作るのは紙1枚でいい。自社で扱う書類を3つに振り分ける。
そのまま入れてよい
社名と人名を伏せれば入れてよい
入れない
肝は見出しの書き方だ。「機密情報」のような抽象語を使わず、自社で実際に触っている書類の名前を書く。
建設会社なら「現場の施工写真」、クリニックなら「カルテの所見欄」。人材会社は「応募者の職務経歴」がここに入る。自社の言葉で並んでいれば、現場は考えずに振り分けられる。「機密情報は入力しないこと」と書いてあると、貼るたびに考えることになって、そのとき忙しいほうに倒れます。
書き出す書類は20個もあれば足りる。先月AIに貼ったものを思い出せばいい。
「それは規程を作れという話では」への答え
違う、というのが自分の立場。
規程を10ページ書いても読まれない。74.6%の「形骸化」はまさにそれで、他社のひな形や役所のサンプルをそのまま配った結果、禁止事項の長いリストができあがって、誰も開かなくなっている。
3分類が規程と違うのは、読む場面が決まっていること。貼る直前に見る紙で、判断はそこで1回終わる。
ただ、紙1枚で全部が片付くわけじゃない。取引先との契約に「第三者提供の禁止」が入っていれば、2番の匿名化では足りない場面が出てくる。そこは顧問弁護士に投げる話で、紙の守備範囲の外です。自分の見てきた範囲だと、そういう例外は書類の1割にも満たなかった。
着手の順番
法人プランで学習の設定を閉じても、何を貼るかは人間が決める。そこに線が無いと、設定だけ正しい会社ができあがる。
6月に、学習設定と保管場所の2つを決めずに使うのが危ないと書いた。3分類はその2つを決めたあとに来る。
次にマスキングの見積もりを取る前に、先月AIに貼った書類の名前を10個書き出してほしい。3つに振り分けられないものが混ざっていたら、そこが自社の線を引く場所だ。
書き出したところで手が止まるようなら、30分の無料相談でその1枚を一緒に作ります。書類名のメモだけ持ってきてください。
参考
ヤマネックス「【調査結果】中小企業の生成AI利用実態調査2026」(2026年8月31日) https://yamanex.co.jp/2026/08/31/sme-generative-ai-survey-2026/






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