補助金でAIを入れた会社が、翌年に止まる理由

デジタル化・AI導入補助金2026の次の締切は9月29日の17時。旧IT導入補助金が名前を変えた制度で、今年からAIツールの導入そのものが補助の対象に入った。
締切前になると「補助金が使えるうちに何か入れたい」という相談が増える。順番が逆だと、毎年思う。
今年からは、逆のまま通すと前より高くつきます。
交付決定のあとに残る後年報告
2026年の制度では、補助事業の開始から2030年まで、導入したツールで生産性がどう上がったかを報告し続ける。
賃上げ計画を表明して交付決定を受けた場合、計画終了時点で目標に届かなければ返還の対象にもなる。つまり、使っていないツールの報告書を4年書き続ける状態が起こりうる。
制度の重心が「ツールを安く買う」から「計画と成果が問われる」に移った、と読んでいます。
2026年の採択率
落ちる率が上がった。1次が46.3%、2次が51.5%、3次が44.0%。3次の結果は9月2日に出ている。1次の通常枠にいたっては、申請2,028件に対して採択891件で43.9%だった。
1次と3次は、半分以上が落ちている。
IT導入補助金の時代に75%を超えていた年を覚えている人は、同じ感覚で出すと落ちます。別の制度です。落ちる確率がこれだけあって、通った先には4年分の報告が待っている。この構図で、通すこと自体が目的になった申請ほど損になります。
翌年も動いている会社が、申請前にやっていたこと
去年、補助金で入れたAIツールの話を聞きに行ったら、契約は続いているのに誰も開いていなかった。申請書の運用欄には、ある社員の名前が書いてあった。本人はその話を知らなかった。
伴走した会社を振り返ると、翌年も使い続けているところには共通点がある。申請書の「導入後の運用」を、業者に書いてもらう前に自分たちで決めていた。
逆に、締切から逆算して業者に埋めてもらった申請は、翌年の更新の時期で止まる。使う人が決まっていないからで、ツールの出来とはほとんど関係がなかった。
この差は申請書を読んだだけでは見えない。運用欄はどちらも埋まっているからだ。違うのは、そこに名前を書かれた人が、その話を知っているかどうか。
申請の前に埋める欄
1つ目は、その業務を今やっている人の名前。個人名で、兼任で構わない。2つ目は、今かかっている時間。月に何時間か、先月の実績で出す。ここまでは30分で埋まる。
難しいのは3つ目です。AIが出したものを誰が確認するか。作る人と確認する人が同じなら、その運用は続きません。
自分が伴走した中で、翌年に止まった会社は全部この3つ目で引っかかっていた。1人でやっている業務をAIに渡すと、確認する人がいないまま出力が流れていく。そこで一度事故が起きると、現場はもう使わなくなる。
3つが埋まらないなら、今回は出さないでください。埋まらないのは、その業務をまだ誰も引き受けていないからです。
「補助金があるうちに動くべきでは」への答え
急いだほうがいい会社はある。運用が決まっていて、あとは費用だけが理由で止まっている会社だ。そこは9月29日に出してください。
ただ、その状態の会社は相談に来る前から運用欄が書けている。書けないまま締切だけが近いなら、急いで通した先に残るのは4年分の報告書だけです。
補助金は導入に付く。定着には付かない。ここは昔から変わっていなくて、今年は報告義務のぶんだけ、定着していない状態のコストが上がった。
締切より先に決めるもの
9月29日までにやるのは、さっきの3つを埋めることです。
埋まったならツールを選んで申請すればいいし、埋まらないなら次の回に回せばいい。どちらに転んでも、埋めた3つは無駄にならない。
2030年まで書き続ける後年報告に書くのは、誰がやっていたか、何時間かかっていたか、それがどれだけ減ったか。最初の2つはそのまま記入欄になる。3つ目の確認者は、報告に書ける数字がそもそも出るかどうかを決めます。
なお、自社では申請支援を別料金で受けているが、必ず採択されるとは言っていません。44%まで下がった制度で確実性を約束するのは無理がある。運用欄を一緒に埋めるところまでは、30分の無料相談でやります。
参考
デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト https://it-shien.smrj.go.jp/
中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました」 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260310001.html






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