音声AIが1分5セントに。それでも電話は渡せない

9月10日、OpenAI が音声モデル「GPT-Live-1」を API で公開した。音声の層だけで1分5セント($0.05)、秒単位の課金で切り上げなし。10分話して50セントになる。
速さも変わった。相手の声を聞きながら同時に話せる方式で、返事までの待ち時間が 1.63 秒から 0.798 秒。電話口の沈黙として許される長さに、ようやく収まった。
それでも、いま電話をAIに渡せる中小企業は少ないと自分は見ている。渡せないのは、取次の条件を誰も書いていないからだ。
1分5セントの内訳
5セントで買えるのは「聞く・話す」の層だけだ。何をどう答えるかの判断は裏側の別モデルがやるので、そのトークン代が別に載る。GPT-Live-1 の価格を分解した eesel AI は、この内訳をいちばん先に書いている。
1本3分なら音声の層が15セント、月200本で30ドル前後。裏側のモデル代を足しても、月あたり数千円の桁に収まる。
国内でAI電話のガイドを出している事業者も、同じくらいの数字を挙げている。中小企業AI研修教育研究所は取り次ぎと折り返し対応の工数60%削減、Uravation の2026年版ガイドは月額1〜5万円で工数5〜7割減としている。どちらも売る側の自己申告なので割り引いて読むべきだが、割り引いてもお金の話にはならない。
つまり、お金はもう導入の引っかかりではなくなった。
代表電話でいちばん時間を食う判断
書類を作っている途中で受話器が鳴る。出て、用件を聞いて、そこからが長い。誰に回すかを決める作業のほうが、聞く作業より時間を食う。
電話番を長くやっている人は、相手の名乗りと声と最初のひとことで「これは社長」「これは経理の担当」と即決している。取引先の社名だけで判断がつく相手もいる。その条件は、どこにも書かれていない。
書かれていない判断は渡せない。音声が人の会話に追いついても、渡す先が決まっていなければAIは「ご用件をお伺いします」までしかできない。そのあと人間が録音か文字起こしを見て、もう一度たどり直す。中断は消えないので、工数も減らない。
今回の発表で、言い訳が1つ消えたと思っている。もう「技術が追いつかない」では止められない。
条件を書かなくても効く場面
夜間と休日は取りこぼしを拾うだけなので、取次の条件を1行も書いていなくても効く。用件を録って翌朝テキストで読めるようにする。それだけで折り返しの確度は上がるし、翌朝の10分で片がつく。
売っている側も、ここは正直に書いている。上の2社はどちらも、クレーム対応と込み入った相談は人に引き継ぐ前提で組めと書いているし、note でAI電話の実現性を検証している ikuta.h さんも同じ立場だ。全部を任せる前提で売っている会社は、自分が見た5社ぶんのサイトには無かった。
問題は昼間の代表電話のほうにある。受話器を置いてから、誰かを探して、席に戻って、どこまでやったか思い出す。取り次ぎまで到達しない限り、この往復は消えない。
着信を「誰宛だったか」で数える
導入を検討する前に、直近1か月の着信を宛先で数えてほしい。電話メモでも折り返しの履歴でも、覚えている範囲の概算でもいい。
自分が見てきた小さな会社は、どこも宛先の上位3つで収まった。社長宛、経理宛、現場の特定の担当宛、という並びだ。
その3つについて、「どういう用件ならその人に回すか」を1行ずつ書く。声や勘に頼っている部分は、社名か、用件に出てくる語か、時間帯のどれかに置き換える。書けた3行が、そのままAIに渡せる範囲になる。
3行が書けないなら、まだツールを選ぶ段階ではない。自分たちが伴走で入るときも、最初の30分はこの棚卸しに使っている。
商談で先に聞くこと
任せられる状態かどうかは、取次の条件が3行書けるかで決まる。値段と速さは、そのあとに効いてくる話だ。
次にAI電話の商談を受けるなら、精度の説明が始まる前に3行を見せて、こう聞いてほしい。「この振り分けは、そのまま設定できますか」。その場で答えられない相手から買うと、取り次ぎは結局これまでどおり人がやることになる。値段がいくら下がっても、自分の手は空かない。
電話に限らず、どこまでAIに渡せるかの線引きで詰まっているなら、30分の無料相談で一緒に整理している。電話メモの束を持ってきてもらえれば、その場で数えられる。






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