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「言われたことだけやる人」から、先にAIに置き換わる

  • 4 時間前
  • 読了時間: 3分
ホワイトボードに描いた業務フローの図を指しながら、担当者と経営者が議論している写真

「AIに仕事を奪われる」という話は、すべての仕事に等しく来るわけじゃない。最初に来る場所は、もう決まっている。


2026年6月末、Yahoo!ニュースで、若手のシステムエンジニアの採用が急に細っている、という記事を読んだ。20代から30代前半、いわゆるジュニア層だ。自分も現場を見ていて、同じ実感がある。仕様を渡されて、その通りに実装する。この種の仕事から順に、AIに置き換わっている。


では、何が残るのか。先に結論を言うと、顧客のビジネスそのものに直接手を入れられる人だ。


最初に消えるのは「指示の実行」

理由はシンプルで、言われたことをそのままやる作業が、いまのAIが一番得意な領域だからだ。


たとえば Claude Code に指示を出せば、チラシや短い動画みたいな制作物が出てくる。Claude in Chrome(ブラウザをそのまま操作させる使い方)を使えば、画面をまたいだ定型の事務作業を任せられる。どちらも「手順が決まっている仕事」をAIが代わりにやる、という話だ。


そして、これはエンジニアだけの問題で終わらない。事務、経理、デザインといったホワイトカラーの定型業務に、同じ流れが順番に来る。一番手がジュニアのエンジニアだっただけで、この置き換えは職種を選ばない。


残るのは「何を作るべきか」を決める側

少し前に FDE(Forward Deployed Engineer)という言葉が話題になった。もとは Palantir が使っていた役割で、技術者が顧客の現場に深く入り込み、相手の業務や事情を理解した上で、課題そのものを解きにいく働き方を指す。指示を待って実装するのではなく、何を作るべきかを顧客と一緒に決める。


ここがAIとの分かれ目になる。「何を作るか」が決まっていれば、作る作業はAIで足りる。逆に、顧客の事情を読んで「そもそも何を作るべきか」を決める仕事は、まだ人間にしかできない。


きつい言い方になるけれど、言われたことを正確にやる、を強みにしてきた人ほど、これからは厳しい。強みだったはずのものが、AIの最も得意な領域と丸かぶりするからだ。


とはいえ、こう返されるかもしれない。最初から「何を作るべきか」を決められる人なんていない。指示どおりに作る仕事は、決める側に育つための入口だったはずだ、と。


そのとおりだと思う。そして、だからこそ事態は深刻だ。修行の場そのものが消えていくので、「実装で経験を積んでから顧客に向き合う」という従来の順番が組めなくなる。これから入る人は、実装の腕が立ってから顧客に会うのではなく、最初から顧客の課題に触れる場所に身を置くしかない。


ツールの納品より「使い方の設計」に時間をかける理由

自分たちがAI導入の支援で、ツールの納品より使い方の設計に時間をかけているのも、同じ理由だ。


「このツールを入れました」で終わると、結局その先で誰かが「言われた通りに動かす」だけの仕事になる。そうではなく、相手の業務に入って、どこをAIに任せ、どこに人間の判断を残すかまで一緒に決める。顧客の現場に入る FDE 的な関わり方をしないと、導入は現場で空回りする。


残る働き方はどっちか

AIが奪うのは「指示の実行」。残るのは「何をやるべきかを顧客と決めること」だ。


だから、今日できる一歩は仕事の棚卸しになる。自分の1週間の仕事を「指示の実行」と「決めること」に分けてみる。前者の比率が高いほど、置き換えは早い。


これは個人だけの話じゃない。会社として、顧客のビジネスに直接入れる人をどれだけ持てるか。そこがこの先の分かれ目になる、と自分は見ている。

参考: Yahoo!ニュース掲載の、AIと若手雇用に関する記事(2026年6月)。FDE(Forward Deployed Engineer)は Palantir 由来の役割概念。

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スノーリーズ株式会社​

代表取締役

石黒翔也

​執筆者プロフィール

約7年間にわたりモバイルアプリケーションやWebアプリケーションの開発、AzureやAWSを活用したサーバー構築に従事。

その後、2021年にスノーリーズ株式会社を設立し、AIで問い合わせ業務の効率化を実現する「AIbox」を開発。

AIboxは最新のRAG技術(Retrieval-Augmented Generation)を活用し、問い合わせ業務に課題を抱える企業に採用されています。

現在は、企業の技術顧問としても活動しながら、AIやクラウド技術の普及に取り組んでいます。

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