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孫正義と同じ戦い方をしてはいけない。AI時代に自社が握るべき「層」

  • 1 日前
  • 読了時間: 3分

インフラの層は、孫正義に任せておけばいい。自社が握るべきなのは、別の層だ。


2026年6月24日のソフトバンクグループ株主総会で、孫正義氏が「ロボットがロボットを大規模に量産する」と語った(X投稿 @AI78140021 経由で広まった発言)。近く正式発表があるとも予告したという。壮大な話だが、ここで自分が書きたいのは「孫さんはすごい」ではない。あの戦い方を、ふつうの会社が真似してはいけない、という話だ。



孫正義がいま取りにいっている層

報じられている範囲で整理すると、SBGはAIインフラを丸ごと垂直統合しにいっている。各層に持ち駒を置く戦略だ。


AIモデルにはOpenAIへの出資。半導体はArmとAmpere。データセンターを建てるのはRoze(AIロボットでデータセンターを自律建設する会社とされる)。そのロボットを作るのが、産業用ロボット世界首位のABB Roboticsで、2025年に買収合意と報じられた。電力は米国でSB Energy、日本では東京電力との連携も観測されている(こちらは交渉段階の情報で、まだ確定ではない)。


「ロボットがロボットを量産する」は、この一番下、データセンターを物理的に建てる実行部隊を指している。


商品化できる層と、できない層

ここで一歩引いて、孫さんが取りにいっている層の性質を見てほしい。


モデル、半導体、データセンター、ロボット、電力。どれも巨大資本と規模で勝負がつく層だ。裏を返すと、資本さえあれば誰がやっても似たような結果になる。つまり商品化が進む層になる。孫さんはそこを、規模で先に押さえにいっている。資本の戦いだから、これは正しい戦い方だ。


問題は、ふつうの会社がこれを真似できないこと。データセンターも電力網も、中小企業が垂直統合できるものじゃない。そして真似する必要もない。


モデルの層も同じ方向に進んでいる。最新モデルが政府の指令で一夜にして止まった件で書いたとおり、特定のモデルに業務を載せること自体が、もう脆い前提になっている(Fable 5 利用停止の記事)。モデルは載せ替える消耗品で、価値はその上の仕組みに移っている。


ふつうの会社が握るべきもの

では、自社が握るべき層はどこか。規模では買えない層だ。


具体的には、自社の判断、現場の暗黙知、これまで積んできた業務の勘どころ。そして、それをAIに渡して回す仕組みのほう。AIに任せて終わりにせず、人間が最後に手を入れた修正差分を学習信号として回収する。この仕組みを自分は前にラーニングループと呼んだ(ラーニングループの記事)。


この層は、どれだけ資本があっても外から商品化できない。孫さんがデータセンターを何棟建てようと、あなたの会社の現場が積んだ判断は、そこには入っていないからだ。


逆に言うと、孫さんが商品化できる層を全部取りにいくほど、自社にしか作れない層を持っているかどうかが、ふつうの会社の生死を分ける。みんなが同じモデル、同じクラウド、同じインフラを使う世界では、差がつくのはその上に何を積んだかだけになる。


自分たちがAI導入の支援で、ツールの選定より使い方の設計に伴走しているのも、同じ理由だ。商品化される層で消耗するより、商品化されない層を太らせるほうが、後に残る。


まとめ

孫正義氏の垂直統合は、規模で押せる層を規模で取りにいく、資本の戦い方だ。ふつうの会社が同じ盤面で戦っても勝てない。


握るべきは逆の端にある。自社の判断と暗黙知、それを回す仕組み。資本で買えない層だ。


問いはこうなる。孫さんが商品化できる層を全部取っていく中で、あなたの会社にしか作れない層はどこにあるか。そこが言える会社は強いし、言えない会社は、誰かのインフラの上で消耗するだけになる。

参考: 2026年6月24日 ソフトバンクグループ株主総会での孫正義氏の発言(X投稿 @AI78140021 経由)。Roze・ABB Robotics・電力連携に関する記述は報道・観測ベースで、一部は交渉段階の未確定情報を含む。

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スノーリーズ株式会社​

代表取締役

石黒翔也

​執筆者プロフィール

約7年間にわたりモバイルアプリケーションやWebアプリケーションの開発、AzureやAWSを活用したサーバー構築に従事。

その後、2021年にスノーリーズ株式会社を設立し、AIで問い合わせ業務の効率化を実現する「AIbox」を開発。

AIboxは最新のRAG技術(Retrieval-Augmented Generation)を活用し、問い合わせ業務に課題を抱える企業に採用されています。

現在は、企業の技術顧問としても活動しながら、AIやクラウド技術の普及に取り組んでいます。

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