【中小企業向け】電子帳簿保存法でコスト削減する方法|Amazon・楽天対応も解説
- 菊地智仁
- 6 日前
- 読了時間: 12分

中小企業の経営者・経理担当者の皆様へ。2024年1月から完全義務化された電子帳簿保存法への対応はお済みでしょうか?
多くの中小企業が「法令遵守のための面倒な作業」として捉えがちな電子帳簿保存法ですが、実は年間40万円以上のコスト削減を実現できる絶好の機会なのです。また、Amazon・楽天などのECサイト利用企業が陥りがちな「落とし穴」についても、実務的な解決策をご紹介します。
本記事では、スノーリーズ株式会社が数多くの中小企業の電子化支援を行ってきた経験をもとに、電子帳簿保存法対応を通じた「コスト削減」「業務効率化」「人材採用力向上」の実現方法を詳しく解説します。
中小企業の証憑管理の現状:まだまだ紙中心の実態
電子帳簿保存法対応が進まない中小企業の実情
freee株式会社が2023年に実施した調査結果は、多くの中小企業関係者にとって衝撃的なものでした。電子データで受け取った証憑の保存方法について、個人事業主・中小企業いずれも半数以上が「印刷して保存と電子保存を併用している」「全て紙で印刷して保管している(電子保存していない)」と回答したのです。

電子データで受け取った証憑の保存状況
個人事業主:39.7%が「すべて電子保存」、38.6%が「印刷と電子の併用」
小規模企業:26.8%が「すべて電子保存」、44.6%が「印刷と電子の併用」
中規模企業:26.9%が「すべて電子保存」、47.8%が「印刷と電子の併用」
紙で受け取った証憑はさらに深刻な状況
紙で受け取った証憑の電子化については、さらに深刻な状況が明らかになりました。個人事業主・小規模企業においては「全て紙のまま保管している(電子保存していない)」と半数以上が回答しています。

つまり、電子帳簿保存法が施行されて以降も、大多数の中小企業が従来の紙ベースの証憑管理から脱却できずにいるのが現実です。この現状こそが、大きなコスト削減の機会を逃している要因なのです。
電子化で実現する年間40万円のコスト削減効果
家賃・保管コストの劇的削減(年間25万円削減)
中小企業にとって見落としがちなのが、書類保管にかかる「見えないコスト」です。10年分の書類を保管するのに1畳分のスペースを使用していると仮定した場合、そのコストインパクトは経営者が想像する以上に大きなものです。

家賃・保管コストの削減効果
東京都中央区トランクルーム:年間318,120円
電子化後のクラウドストレージ:年間69,600円
削減効果:年間248,520円
この計算は決して大げさなものではありません。実際、多くの中小企業では書類の増加に伴ってオフィスの拡張を検討したり、外部倉庫を借りたりするケースが少なくありません。これらの費用は、本来であれば事業成長や人材投資に充てられるべき貴重な資金なのです。
検索・管理工数の大幅削減(年間15万円削減)
より深刻で、かつ多くの中小企業が見落としがちなのが、書類検索にかかる人件費の問題です。「たかが書類探し」と軽視されがちですが、その積み重ねが大きなコストロスを生んでいます。

検索工数削減の計算根拠
人件費:時給2,000円
紙書類の月間探索回数:120回(1日2回×20日×3人)
1回の探索時間:5分(保管場所からの出し入れ2分+書類探索3分)
年間発生コスト:240,000円
電子化後:88,800円
削減効果:年間151,200円
重要なのは、この時間が「付加価値を生まない作業」だということです。優秀な社員が書類探しに費やす時間は、本来であれば顧客対応や新規事業検討に充てられるべきリソースなのです。
テレワーク促進による人材採用力の向上
株式会社学情の調査によると、若年層ビジネスパーソンの6割弱が採用応募条件でテレワーク制度有を重視するという結果が出ています。

証憑の電子化により、オフィス以外の場所でも書類などにアクセスできることで、テレワークや働き方改革の促進が可能になります。これは単なる福利厚生の充実ではなく、優秀な人材の採用・定着という中小企業の根幹に関わる競争優位性の獲得を意味しています。
電子帳簿保存法の3区分を理解する
電子帳簿保存法の基本構造
電子帳簿保存法に基づいて電子データ保存するには、以下の3区分があります。多くの中小企業が混乱する原因は、この3つの性格の違いを理解していないことにあります。

区分1:電子帳簿等保存(任意対応)
コンピュータを使用して作成した国税関係帳簿・書類を、紙に出力せずにそのまま電子データとして保存することを認める制度です。従来は国税に関係する帳簿・書類は紙で保存しなければなりませんでしたが、これらを電子データとして保存できるようになりました。
区分2:スキャナ保存(任意対応・コスト削減効果大)
紙で受け取ったり発行したりした国税に関する取引関係書類(契約書・領収書・請求書など)を、スキャナやカメラで電子化して、電子データとして保存することを認める制度です。前述のコスト削減効果が最も大きい区分でもあります。
区分3:電子取引データ保存(必須対応)
最も重要な区分です。所得税や法人税の保存義務者が「電子取引」を行った場合に、その取引情報を電子データのまま保存しなければならないという制度です。電子取引データ(電磁的方式でやりとりした取引情報)を印刷して紙で保存する方法では対応が不十分となります。

中小企業が最低限対応すべきは区分3(電子取引データ保存)ですが、コスト削減効果を最大化するには区分2(スキャナ保存)への対応も推奨されます。
中小企業が陥りがちな電子帳簿保存法の落とし穴
スキャナ保存の対応判断
領収書・請求書等をスキャナ等で読み取って電子データ化すれば紙での保存が不要になる制度です。原則は任意ですが、前述の通りペーパーレス化によるコスト削減メリットを享受できます。

対応の判断は単純です。紙で送付・受領した国税関係書類(契約書や請求書の控えなど)をスキャンまたは撮影して電子データとして保存するかどうか。「する」なら対応すべき、「しない」なら対応不要(紙のまま保管)となります。
電子取引データ保存:中小企業の必須対応事項
最も重要で、ほとんどの中小企業が対応必須となるのがこの区分です。

電子取引の具体例
取引先からメール添付でもらったPDF請求書等
Amazonや楽天等で購入した際の請求書や領収書
スマホアプリ決済(スクショでもOK)
ソフトウェア使用料や通信クラウドサービス等
重要なポイント:今まではプリントアウトしてそれを保存しておけばよかった→今後は、無効です!!
電子データ保存の必須要件:中小企業が満たすべき3つのポイント
電子で保存するにしても、以下のような要件を満たす必要が原則あります。

改ざん防止要件への対応
以下のいずれかの対策が必要です。
事務処理規程の策定:改ざん防止のための事務処理規定を定めて守る(事務処理規定のサンプルは国税庁HPを参考)
タイムスタンプの付与
システムでの管理:訂正・削除の履歴が残るシステム等で保存
検索要件:日付・金額・取引先での検索機能
「日付・金額・取引先」で検索できる必要があります。
表計算ソフトでの管理:表計算ソフト等で索引簿を作成する
規則的なファイル名:「日付、金額、取引先」をファイル名に入力し集約
例:2024年3月分_A社御中_事務用品請求書_33000.pdf
検索システムの利用:日付・金額・取引先で検索できるシステム等で保存
可視性の確保:税務調査への備え
ディスプレイやプリンタ等を備え付ける必要があります。税務調査時に速やかに電子ファイルを出力できる状態にしておくことが求められます。
Amazon・楽天利用企業が知るべき電子帳簿保存法の落とし穴
「サイトで確認できるから大丈夫」は危険な誤解
多くの中小企業が誤解している重要なポイントがあります。「Amazonや楽天は、サイトで領収書見れるからダウンロードいらない?」という認識です。

国税庁の見解では、当該ECサイト上でその領収書等データの確認が随時可能な状態である場合には、必ずしもその領収書等データをダウンロードして保存していなくても差し支えないとされています。
Amazon・楽天サイトの検索機能では電子帳簿保存法の要件を満たせない
しかし、実務的には大きな問題があります。

必要措置への対応状況比較
項目 | Amazonサイト | 楽天サイト |
日付検索 | △ | ○ |
取引先検索 | × | ○ |
金額検索 | × | × |
訂正削除記録 | ○ | ○ |
サイト内では検索要件を満たしておらず、税務調査時に迅速に検索し、当該書類の提示が難しいのが現実です。
中小企業が陥りがちなアカウント管理のリスク
随時確認可能な状態が必要なため、購入したアカウントにログインできる状態が求められます。例えば、
社員が個人アカウントで購入していて退職した場合
アカウント停止・削除のリスク
パスワード忘れなどによるアクセス不能
これらの場合、税務調査時に閲覧不可な状態が濃厚となります。
したがって、Amazon・楽天などのECサイトで領収書、請求書がWebから確認できるサービスにおいても、電子データをダウンロードして検索要件を満たした状態にしておく必要があると考えます。
2024年からの電子帳簿保存法罰則強化:中小企業への影響
緩和措置終了による厳格化
2023年12月までは緩和措置が取られていましたが、義務化後は、違反すると重い罰則が課せられる場合があります。

中小企業が受ける具体的な罰則
2024年1月1日以降、適切に電子保存しなかった場合、以下のような罰則を受けるリスクが高まっています。
青色申告の承認取消:税務上の優遇措置を失う
推計課税や追徴課税:実際の所得以上の課税を受ける可能性
会社法による過料:企業の法的責任を問われる
これらの罰則は中小企業の経営に直接的な打撃を与えるものであり、単なる法令遵守の問題を超えて、企業の信頼性や継続性にも関わる重要な課題となっています。
SmartDC:中小企業向け電子帳簿保存法対応システム
AI-OCRによる自動化で中小企業の負担を軽減
SmartDC(電子帳簿)は、AI-OCRを活用して見積書・注文書・請求書などあらゆる取引関係書類を管理できる、中小企業向け電子帳簿保存システムです。

アップロードするだけで電子帳簿保存法対応に必要な取引年月日、取引先、取引金額、などをAIが抜き出し管理台帳を作成します。アップロードは、複数ファイルをまとめて一括読み込みが可能で、他社製品に比べ圧倒的に取り込み作業に関わる時間が短縮可能です。
中小企業でも使いやすい直感的な操作性

登録後、特別な準備は必要ありません。システムが苦手な方でも直感的にご利用可能です。マニュアル不要で導入負担や作業負担を大幅に削減できます。もちろん、導入のサポートも全面的に支援いたします。
SmartDC実演デモ:請求書管理の実際
請求書(受領)の簡単登録
受領証憑の各書類カテゴリ(請求書、見積書、注文書、納品書、その他)と発行証憑の各書類カテゴリが分かりやすくアイコン表示されており、該当する書類種別を選択するだけで始められます。
一括登録で月末作業を効率化
複数ファイルをまとめて一括でアップロードすることができ、月末の証憑整理作業を劇的に効率化できます。従来の「ファイル名を規則的に付ける」作業や「Excelで索引簿を作成する」といった煩雑な作業から完全に解放されます。
電子帳簿保存法要件への完全対応
電子帳簿保存法で求められる「日付・金額・取引先」での検索が簡単に行えます。AI-OCRにより自動抽出されたデータは検索可能な形で格納されているため、税務調査時にも迅速に該当書類を提示できます。
中小企業の実務に配慮した機能
和暦→西暦自動変換
日本の商習慣で多用される和暦表記についても、自動的に西暦に変換して管理できます。令和、平成などの和暦で記載された書類でも、システム内では統一的に西暦で管理され、検索性が向上します。
改ざん防止:削除編集履歴の自動管理
電子帳簿保存法の改ざん防止要件に対応するため、すべての削除・編集作業は履歴として記録されます。これにより、訂正・削除の履歴が残るシステムでの保存という要件を満たします。
Amazon・楽天領収書の適切な管理
前述したAmazon・楽天の落とし穴問題についても、SmartDCなら適切に対応できます。ECサイトからダウンロードした領収書や明細をアップロードすることで、検索要件を満たした状態で管理できます。
中小企業に配慮した料金設定

月額5,800円から始められ、7年間分の証憑保存も可能です。
月額基本料:5,000円(5Gbyteのストレージ含む)
月額ユーザーライセンス料:800円/1ユーザ
月額追加ストレージ料:1,500円/5Gbyte
参考計算:
5Gbyte = 5,242,880Kbyte
1ファイル = 90Kbyte(概ね)
保存可能ファイル数:58,254ファイル
月100ファイル保存×7年間 = 8,400ファイル(0.7GB使用)
年間約40万円のコスト削減効果を考えれば、極めて合理的な投資といえるでしょう。
中小企業の電子帳簿保存法対応方法診断

電子帳簿保存法に対応するためにどのような方法があるかフローチャートで確認しましょう。
対応方法の選択基準
中小企業がこれから対策したい場合の判断基準
ワークフローから保全まで全システム対応したい → 会計システムで対応
最低限の対応をしたい(既存の運用は活かしたい)
電子取引データの保存のみ実施 → SmartDCで対応
紙取引も電子データ保存したい → SmartDCで対応
お困りごと → スノーリーズへご相談
まとめ:中小企業が電子帳簿保存法で得られる3つのメリット

年間約40万円のコスト削減を実現
中小企業が電子化することで得られる大きく3つのメリット
家賃・保管コスト削減:年間248,520円相当
検索・管理工数削減:年間151,200円相当
テレワーク促進による人材採用・定着効果
電子帳簿保存法の対応優先順位
電子帳簿保存法は、対応必須と任意があります。
紙データで受領したもの:継続して紙保存でもOK(電子化任意)
→ただし、電子化メリットが大きいので電子化をお勧め
電子データで受領したもの:原則、電子でのみ保存(電子化必須)
電子データ保存したデータ:原則、取引日、取引先、金額での検索が行えること
SmartDCで簡単・確実な電子帳簿保存法対応
SmartDCを使えば簡単に紙も電子も簡単にデータ保存できます。結果、電子帳簿保存法にも対応できます。
電子帳簿保存法への対応は、単なる法令遵守を超えて、中小企業の競争力向上と経営効率化を実現する重要な投資機会です。「やらなければならない」から「やった方が断然得」へ。この認識転換こそが、中小企業の未来を決める分岐点となるでしょう。
お問い合わせ
スノーリーズ株式会社 営業担当:菊地 智仁
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