なぜMCPが必要なのか?
みなさんは、ChatGPTやClaudeといったAIアシスタントを使っていて、こんな不便を感じたことはありませんか?
「パソコンに保存してあるファイルをAIに読んでもらいたいけど、方法がない。」
「SlackやGitHubの内容を使って、もっと高度な分析をしてほしいのに。」
「会計システムや営業支援ツールの情報を解析してほしいけど、AIにはアクセスさせられない。」
これらの悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。しかし、これらが実現しない理由はとてもシンプルです。
AIが外部のデータやサービスに安全にアクセスする仕組みが整っていない
これが、すべての問題の核心です。
現在のAIアシスタントは非常に賢いですが、それを活かすためには「必要なデータやサービスにアクセスする能力」が欠かせません。しかし、ここに大きな壁があります。
データの安全性をどう確保するか?
アクセスできる範囲をどう制御するか?
異なるツールやサービスとどう連携するか?
これらが整理されていないため、AIは多くの場面で十分に力を発揮できていないのです。
MCPが目指す解決策
ここで登場するのが Model Context Protocol (MCP) です。MCPは、この「AIが外部のデータやサービスに安全にアクセスする仕組み」を提供するために設計されたプロトコルです。
MCPが実現すること
1. 安全なアクセス制御
MCPは、AIがどのデータにどこまでアクセスできるかを明確に制御します。たとえば、「このフォルダだけ許可する」「データベースは読み取り専用にする」など、細かい設定が可能です。
2. 標準化された接続方法
異なるツールやサービスへの接続を統一的な手順で行えるようにします。これにより、複雑な設定が不要になり、初心者でも簡単に使える環境を提供します。
3. 拡張性のある設計
新しいツールやサービスを追加する際も、既存の仕組みにスムーズに統合できる柔軟性があります。
MCP導入前の課題:複雑で非効率な接続方法
複雑な接続と管理の問題
AIアプリケーションが「会計ソフト」「人事管理ソフト」「営業ツール」などの業務ツールと連携するためには、それぞれのツールごとに個別に接続を設定する必要があります。
例えば、以下のような問題が発生します。
開発コストの増大各ツールに対して異なる接続方法(APIや認証プロセス)を実装するため、開発にかかる時間とコストが膨れ上がります。
セキュリティ管理の難しさツールごとにアクセス権を設定する必要があり、ミスが生じると情報漏洩やデータの誤使用のリスクが高まります。
新しいツール追加時の負担新しい業務ツールを導入するたびに、AIアプリとそのツールの接続を個別に設計・実装しなければならず、柔軟な拡張が困難です。
具体例:現在の接続方法の問題点
AIアシスタントが複数の業務ツールと連携する場合、以下のような状況に陥ります。
個別に接続する必要がある会計ソフトはA社のAPI、営業ツールはB社のクラウドサービス、人事管理ソフトはC社の独自システム……それぞれ接続手段が異なるため、設定や開発に非常に手間がかかります。
セキュリティリスクが増大するどのツールにどの範囲でアクセスを許可するのかを適切に管理しないと、AIが不要な情報にアクセスしてしまうリスクがあります。これにより、情報漏洩の可能性も高まります。
運用と保守の負担が増えるそれぞれのツールに変更やアップデートがあった場合、AIとツールの接続部分を個別に修正する必要があり、運用面での負担も増加します。
MCP導入後
MCP導入後は、上記で挙げた開発コストの増加やセキュリティの課題が解決されます。
MCPがあることで、AIが「会計ソフト」「人事管理ソフト」「営業ツール」と接続するとき、MCPサーバーを通じて安全かつ効率的にデータをやり取りします。
MCPが連携できるシステム一覧
MCP(Model Context Protocol)は、その柔軟性と拡張性により、多様なシステムやツールと連携可能です。これにより、AIが幅広い業務やタスクに対応できるようになります。
以下に、現時点でMCPが連携できる主要なシステムを示します。
ファイルシステムとデータベース関連
Filesystem
概要: セキュリティが確保されたファイル操作を実現。アクセス制限を柔軟に設定可能。
ユースケース例: 特定のフォルダ内のファイル整理や内容検索。
PostgreSQL
概要: スキーマ調査機能を備えた、読み取り専用のデータベースアクセス。
ユースケース例: 営業データの分析や履歴の確認。
Sqlite
概要: ローカルデータベースとのやり取りや、ビジネスインテリジェンス分析をサポート。
ユースケース例: 小規模なデータセットの効率的な管理と分析。
クラウドストレージとオンラインツール
Google Drive
概要: Google Drive内のファイルへのアクセスと検索機能を提供。
ユースケース例: チームの共有ドキュメントを分析し、重要な情報を抽出。
Slack
概要: チャンネルの管理やメッセージの送受信をサポート。
ユースケース例: チーム内のコミュニケーション内容を分析してレポートを生成。
GitHub
概要: リポジトリ管理、ファイル操作、GitHub APIとの統合機能を提供。
ユースケース例: コードレビューの効率化やプロジェクトの進捗管理。
GitLab
概要: GitLab APIを通じて、プロジェクト管理機能を提供。
ユースケース例: チーム開発のタスク進捗を可視化。
デバッグとブラウザ自動化
Sentry
概要: Sentry.ioからの問題情報を取得し、分析をサポート。
ユースケース例: エラーの傾向分析やバグ修正の優先順位付け。
Puppeteer
概要: ブラウザの自動操作とWebスクレイピング機能を提供。
ユースケース例: 定型的なWebタスクの自動化やデータ収集。
検索エンジンとローカルメモリ
Brave Search
概要: Braveの検索APIを利用して、Webとローカル検索をサポート。
ユースケース例: インターネット上の情報を迅速に収集。
Memory
概要: 知識グラフをベースとした永続的なメモリシステムを提供。
ユースケース例: 過去の会話や分析結果の蓄積と活用。
位置情報とデータ取得
Google Maps
概要: 位置情報サービス、経路検索、場所の詳細情報を提供。
ユースケース例: 配送計画の最適化や顧客訪問ルートの提案。
Fetch
概要: Webコンテンツの取得と効率的なデータ変換をサポート。
ユースケース例: 必要な情報を素早く収集し、AIで分析。
「自社で使っているシステムと連携はできないの?」
MCPは、SlackやGitHub、Google Driveといったグローバルで広く使われているツールとの連携に対応していますが、すべてのツールやシステムと連携できるわけではありません。特に、日本国内で開発・利用されている独自のSaaSや特定の業務ツールには、まだ標準では対応していません。
「え、自社で使っているシステムの連携はできないの?」と思われた方もいるかもしれません。しかし、ここで重要なのは、MCPがオープンソースで開発されているという点です。オープンソースであるため、会社独自のカスタマイズを加えることで、自社ツールとの連携を実現することが可能です。
自社で利用している特定のツールやシステムともAIを連携させたいというニーズにお応えするために、私たちの会社では MCPのカスタマイズ対応 を積極的に行っています。オープンソースのMCPを基盤に、自社独自の業務ツールや国内特化型のSaaSともスムーズに接続できるように改良を加えます。これにより、以下のようなメリットを実現します。
カスタマイズ対応のポイント
独自ツールとの連携
自社開発の業務システムや日本国内特有のツールに対応した接続設計を行います。
例: 国内ERPシステムや特殊なCRMツールとのシームレスな統合。
専任チームによるサポート
カスタマイズ設計から導入、運用後の調整まで、専門スタッフがフルサポート。
ユーザーインターフェースの調整や機能追加も可能です。
セキュリティ第一の設計
データのアクセス制御やセキュリティ強化も並行して行い、機密情報の保護を徹底します。
AIbox導入のメリット
さらに、MCPを活用したカスタマイズを行うことで、当社の 「AIbox」 が最大限に力を発揮します。AIboxは社内問い合わせ対応を自動化し、生産性を向上させるソリューションであり、以下の特長を備えています。
RAG機能で高精度な回答が可能 「AIbox」はRetrieval-Augmented Generation(RAG)という技術を搭載。社内のマニュアルや過去の問い合わせデータ、FAQなどを参照して、内容に基づいた精度の高い回答を提供します。これにより、従来のチャットボットよりも使いやすく、頼れるサポートが実現します。
スムーズな社内コミュニケーション 社内でよく利用されるSlackとの連携機能により、AIboxはSlack内の情報も検索対象にすることが可能です。例えば「経費申請の締め切りを知りたい」といった質問も、Slackから直接AIに問い合わせることで即座に回答を得られ、業務が止まることなく進みます。
徹底サポートと安全性 AIboxは、Azure OpenAIサービスを活用した高いセキュリティ性も特徴です。利用データが外部のOpenAI社に送信されることはなく、企業内の機密文書も安心して取り扱うことができます。さらに、導入時や運用後のデータ整備についても専門スタッフが支援し、スムーズな導入と安心運用が可能です。
こんな部門での活用が進んでいます
経理、総務、人事などのバックオフィス:各部門で必要なFAQやマニュアルをAIboxに登録することで、社員からのよくある問い合わせ対応が自動化され、日常的な業務負担が軽減されます。
カスタマーサポート:エクセルや問い合わせ履歴などのデータをAIに読み込ませておくことで、過去の対応履歴から適切な回答をAIが自動生成。お客様からの問い合わせに、的確で素早い回答を提供できます。
問合せ先
スノーリーズ株式会社について
バックオフィス向けソリューション AIboxについて
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