京都府舞鶴市・鶴岡市が進めるGemini活用とその効果
- 石黒翔也
- 6月14日
- 読了時間: 3分
舞鶴市デジタル推進課の大型活用例
Google日本法人によると、京都府舞鶴市では、Google Workspace や Imagen3、Meet の文字起こし機能などとあわせて、生成AI「Gemini」を全庁で活用する大規模な取り組みを進めている。職員が地域に出て活動する環境を支援するために、ChromeOS および Chrome Enterprise Premium を併用し、安全かつ柔軟なデジタル環境が整備された。
画像生成においては、Imagen3を使った「お天気お姉さん」などの実験も紹介されており、プロンプトから簡単に高品質なビジュアルを生成できる点が評価されている。また、Meet による日本語の自動文字起こし・話者識別機能も導入され、庁内の議事録作成業務が大きく効率化されている。
鶴岡市のGemini使用状況

鶴岡市のnoteでは、Gemini 利用状況に関するアンケート結果も公開されている。以下のように、使用頻度は分布しており、一定数の職員がすでに活用していることがわかる。
使用ゼロ:34.5%
低使用:18.9%
中程度使用:39.8%
高使用:6.8%
導入段階としては十分に高い関与率であり、特に中〜高使用層が約46.6%を占めている点からも、今後の利活用拡大のポテンシャルが示唆される。
FAQ対応チャットボットの迅速構築
舞鶴市では、NotebookLM と Gemini を連携し、庁内チャットボットをわずか2時間でプロトタイプ構築。庁内FAQデータを読み込ませ、問い合わせ対応の手間を大幅に軽減する取り組みが行われた。実際、問い合わせ対応数を約3分の1に削減できたという報告もあり、実用面での成果が注目されている。
こうした生成AIの活用事例は、自治体だけでなく、企業や組織の業務改善にも応用可能です。たとえば、社内の問い合わせ対応を自動化したい場合は、AIboxのようなサービスを候補に入れてみてもよいかもしれません。マニュアルやFAQを読み込ませるだけで、AIが正確な回答を返してくれるため、工数削減と対応品質の向上を両立できます。
NotebookLMとは?
NotebookLM(ノートブック・エルエム)は、Googleが提供する生成AIツールで、ユーザーがアップロードした資料やメモをもとに、AIが自然言語で質問に答えてくれる「AI付きノート」です。PDFやGoogleドキュメントなどの資料を読み込ませることで、その内容に関する質問に即座に回答してくれるため、調査や問い合わせ対応などの業務を大きく効率化できます。
Chatbot ArenaにおけるGeminiの最新評価

2025年6月時点で、Gemini 2.5 Pro は AIモデルの性能比較評価である Chatbot Arena において、総合ランキングで1位を獲得した。特に以下の分野で評価が高かった。
推論力
数学的思考
創造的文章生成
視覚処理能力
コーディング精度
教育専門家による Learning Arena でも73.2%の推奨率を獲得し、教育支援や文書理解における有効性も高く評価されている。
一方で、出力制御や正確なフォーマット要求への対応では、課題が指摘されるケースもあり、導入時にはユースケースに応じたプロンプト設計とガイドラインが重要となる。
なお、筆者の個人的な所感として、GeminiとOpenAI(ChatGPT)モデルは常に首位を争う構図となっており、Chatbot Arena上でも2週間単位で順位が頻繁に入れ替わる状況が続いています。
生成AIを業務で取り入れる場合は真っ先に候補になるのがGeminiとChatGPTですね。
性能面での拮抗ぶりは、ユーザーの用途や好みによって評価が分かれるほどであり、今後も両者の進化から目が離せません。
今後の自治体展開に向けて
舞鶴市や鶴岡市の先進事例は、他の自治体にとっても大きな示唆を与えている。段階的な導入、利用状況の可視化、問い合わせ削減効果の数値化、そしてAI導入教育とのセット運用が、全国的な自治体DXの加速に貢献していくだろう。
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